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木々と日々 - Trees and Days

 木戸駅は福島県双葉郡楢葉町にある常磐線の小さな駅だ。福島第一原発から20キロ圏内にあり、原発事故直後に町内全域に避難指示が出された。津波の後始末をする間もなく人々は避難を命じられ、立ち入りが厳しく制限されることになる。2013年9月、偶然にその場所に辿り着いたのだが、目の前に開けた悲しくも美しい風景に心を強く揺り動かされた。楢葉町は2015年に避難指示が解除され、震災以降不通となっていた広野~竜田駅間の列車の運行が再開された。この美しい土地を再び訪ねてみたいと思った。初めて木戸駅を降り、以来、撮影のためにこの場所を行き来する。

 オリンピックが開催されるはずだった2020年、TOKYOとFUKUSHIMAの非対称性について考えている。コロナ禍に際し、両者にはますます隔たりを感じる。震災と原発事故の当事者ではなく、しかし同時に福島から送られて来る電気を無自覚に消費し続けた当事者として、この小さな過疎の地を通して考え続けること。そして美術家として、その事実に自覚的であり続けること。「傷」や「痛み」について何度でも問い直すこと。 

 全ては「日々」のことである。他者(ひと)の悲しみに寄り添うことの「不可能性」について考える。ひとりひとりの場所と時間に、ひとつの像/イメージを与える。それは言葉であり、また記憶でもある。その場に開かれた小さなプロセスに小さな言葉が放たれ、その言葉はあなたの指先に微かに触れる。

中根秀夫 

 


Trees and Days

 

Trees and Days

 

Trees and Days

 

Trees and Days
Trees and Days / 2020
photograph

 


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